個人が変える地球の未来。温暖化とエネルギー問題。

温暖化
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🔄 最終更新日 2020年5月11日 by takara_semi

電力の安定供給と温暖化

日本では地球温暖化対策として省エネ・自然エネルギーの導入・原子力発電の促進等の対策がとられてきましたが、3.11以降、この見直しが必要となっています。本記事では、電力の安定供給という現代社会の維持・発展に不可欠な最低条件を満たしつつ、地球温暖化対策に貢献する方法について、マクロとミクロの視点から考えていきます。

持続可能性と原発

東日本大震災では、地震や津波による甚大な被害に加え、引き続いて起こった原子力発電事故による被害も過去に類例を見ないものとなりました。近代文明ゆえに被害を緩和できたという一面も見られるが、一方で電気、ガス、水道などへの深い依存のために被害を拡大させたという面も否定できません。特に電気、つまり原子力発電への依存が、復興をより困難な事態にしたことは自明でしょう。災害からの復興が急がれる中、旧に復して今後同様の事態に陥るようなことがあってはなりません。長きに渡り、持続可能かつ安全な社会と生活の再建がいま求められており、国民が描く未来像には、原発の姿はないことでしょう。

しかし他方で、地球温暖化対策も喫緊の課題であり、この切り札として、原子力発電がクリーンで安定したエネルギーとして注目されていました。ところが今回の震災によって「脱原発」が謳われることになったため、その代替案が早急に必要となりました。東日本大震災の与えた影響を踏まえた地球温暖化対策の実現には、どのような方法を実施し、技術を利用・開発していけばよいでしょうか。

電力の安定供給のための2つの条件

地球温暖化対策への貢献について考える際の前提として「電力の安定供給のための2つの条件」を満たしている必要があります。ここで電力の安定供給のための2つの条件とは 1)電力系統全体で発電(供給)と消費(需要)が等しくなること 2)電力を流通設備を通して消費地まで送電すること、の2つです。

1つ目の条件は、需要を予測し発電を調整することが重要となります。そうすることで需給調整を行い、発電と消費を一致させることができます。2つ目の条件は、電力の確かな輸送経過を確保することが重要となります。なぜなら系統全体で発電と消費を一致させることができるとしても、送電が制限されてしまうと、発電と消費を一致させることができなくなってしまうからです。以下、これら2つの条件を満たしながら、地球温暖化対策に貢献する方法について、マクロの視点とミクロの視点から考えていきます。

マクロな視点での温暖化対策

日本がとる地球温暖化対策を考えると、その優れた技術力を利用しない手はありません。例えば、自動車の燃費はこの10年間に30%以上も改善され、エアコンのエネルギー効率も倍以上になりました。つまり温暖化対策には、日本の持つ多くの技術の中から最もエネルギー効率がよく二酸化炭素の排出量の少ない技術を、国指導の下、選択・推進していけばよいと考えられます。環境への配慮から低炭素化の方向性がはっきりした現在、あらゆる分野で省エネルギー技術の開発や導入へ向かうことは必然でしょう。この技術開発の背景には、エンジンの最適制御やエアコンの自動制御などの、最適化論や制御理論などの知識の活用があり、それら学びを省エネルギー化技術に還元することで、誰もが温暖化対策に貢献できるのではないでしょうか。

送電と発電のエネルギー損失

また、日本のエネルギーバランスと電力問題について考えると、2010年時点において、エネルギー供給100に対し、最終消費はわずか68%で、32%がエネルギー損失となっており、省エネルギー化と電力系統の整備改善の余地が窺えます。さらに発電・送電・配電の電力系統では、投入したエネルギーのおよそ60%が排熱や送電ロスにより失われ、利用可能なエネルギーは約36%だけなのです。これは、エネルギー変換効率の向上を図ることや送電線の改善によって、多少の高効率化が図れるものだと思われます。

また、電力会社の地域独占体制に起因する各会社間の連携不足や、東西の異なる周波数設定などが、安定した電力供給のための流通インフラの整備の一つの障壁となっているものと考えられます。たとえいくら省エネルギー化を図ったとしても、大規模な停電などが生じてしまっては、温暖化対策以前の大問題です。これら流通設備の問題は、周波数の壁を崩し、より高効率な送電技術を開発することによって緩和されることでしょう。

再生可能エネルギーの可能性と不安定性

世界規模で見ると、例えば近年、二酸化炭素排出量の削減等の環境への負荷の低減要求を満たすために、太陽光発電や風力発電、バイオマスなどの自然エネルギーの導入の動きが加速しています。一方、これらのエネルギー源は、天候という予測困難な要素に左右されるため不安定であるという特性があり、大量に電力系統に導入された場合にその系統運用に与える不安定な影響が懸念されています。

これらの有望なエネルギー源を主たる電力基盤として整備するためには、その不安定性をの問題をうまく解決する必要があります。自然エネルギーのための新たな需給制御装置を開発し、商用系統と同程度な品質の電力供給の実現が求められるのです。この課題の達成には、自然エネルギーの発電情報および送電設備の大規模なネットワーク化を図り、モデリングおよびシミュレーション技術を駆使することで、その電力系統システムを最適制御することで、安定的に省エネルギーかつ高効率な電力システムを構築することができるのではないでしょうか。

ミクロな視点での温暖化対策

ローカルな規模では、各地域のエネルギー、つまり分散型のエネルギーの連系をしたマイクログリッドシステムの最適運転制御技術を利用すればよいと考えられます。このマイクログリッドとは「複数の分散型発電設備と電熱需要から構成されるごく小規模な電力系統において、その内部で需要と供給のバランスを取る」という考え方です。

この場合、自然エネルギーをはじめとする、安定供給に不安を持つ電源においても有効活用が可能であることが確かめられており、マイクログリッドを適用することによって、自然エネルギーの変動が電力系統に与える影響を抑制することができます。つまり、マイクログリッドは、ローカルな複数の電源と需要家を一括管理し、電源の個別管理では困難であった「地域レベルの最適運転」を図るものであると同時に、新しいエネルギー発電方法の不安定な出力による悪影響を、マイクログリッド内の電力需給バランスを一定に保つことである程度回避できるものと考えられます。

個人でとれる温暖化対策

また、地球温暖化対策への個人の貢献を考える場合、あまりにも問題の規模が大きいため、個人では貢献する方法どころか、影響を及ぼし合っていることすら認識しづらいものです。しかしながら、各個人の行動が、物と時間の消費を通じて社会に変化をもたらし、政治を動かし、インフラを新たにするのです。非常に時間の要するものですが、個人個人が地球温暖化対策に対する正しい知識を持って行動・選択し、その長期目標を共有することで、徐々に、そして確実に世界を変えていくことでしょう。

技術は社会が持つ目的に対する手段であり、手段にとらわれて目的を見失っては本末転倒です。地球温暖化対策という目的に対して、原子力発電という手段が適合しなかったのであるならば、別の手段を選択することが社会のあるべき姿です。個人個人が地球温暖化に対する正しい知識を身に付け、技術が正しい方向へ行使される世界となるよう社会を導いていく必要があるのではないでしょうか。

<参考文献>
[1] 西岡秀三, “低炭素社会のデザイン”, 岩波新書(2011).
[2] 吉田文和, “グリーン・エコノミー”, 中公新書(2011).
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著者紹介 旧帝大学生。自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学など、および学際的な研究領域に興味があります。

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