1章:式の計算

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🔄 最終更新日 2019年12月11日 by takara_semi

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中学1年~2年では、多項式どうしの加法や減法を学習しましたが、本章では、多項式どうしの乗法と除法を習得し、文字を使った式やその計算を利用した様々な問題解決の方法について学んでいきましょう。

式の乗法・除法

本節では、分配法則を利用した単項式と多項式の乗法や、逆数を利用した多項式と単項式の除法、分配法則を繰り返し利用して計算する多項式と多項式の乗法の計算方法について理解しましょう。多項式と多項式の乗法 $(a+b)(c+d)$ は例えば $c+d=M$ とおけば $(a+b)M$$=aM+bM$$=a(c+d)+b(c+d)$$=ac+ad+bc+bd$ として計算することができます。このように、単項式や多項式の積の形の式を、括弧を外して単項式の和の形に直すことを、式を展開すると言います。次に、式の展開を楽にするための「乗法公式」についてみていきましょう。

【公式1】$(x+a)(x+b)$$=x^2+ax+bx+ab$$=x^2+(a+b)x+ab$
つまり $x^2+(aとbの和)x+(aとbの積)$ という形になります。続いて公式1の $b$ を $a$ におきかえると
【公式2】$(x+a)^2$$=x^2+2ax+a^2$
公式2の $a$ を $-a$ におきかえると
【公式3】$(x-a)^2$$=x^2-2ax+a^2$
公式1の $b$ を $-a$ におきかえると
【公式4】$(x+a)(x-a)$$=x^2-a^2$
このように公式1を導くことによって公式2~4をつくることができます。

最後に、いろいろな式の展開について考えると、例えば $(3x+1)(3x-2)$ という式を展開するには $3x=X$ として1つの文字として扱うことで【公式1】より
\begin{eqnarray}
(3x+1)(3x-2) &=& (X+1)(X-2) \\
&=& X^2-X-2 \\
&=& (3x)^2-(3x)-2 \\
&=& 9x^2-3x-2
\end{eqnarray}

と展開できます。他にも $(x+y-1)(x+y+1)$ という式の展開は $x+y=A$ として1つの文字として扱うことで【公式4】より
\begin{eqnarray}
(x+y-1)(x+y+1) &=& (A-1)(A+1) \\
&=&A^2-1 \\
&=&(x+y)^2-1 \\
=&x^2&+2xy+y^2-1
\end{eqnarray}

と展開できます。このように、文字を置き換えて考えることで、乗法公式を利用して簡単に展開できる計算が多くあります。乗法公式を確実に理解して、式の展開を正確にできるように練習しましょう。
要点

(1) (単項式) $\times$ (多項式):分配法則を用いて多項式の各項に単項式をかける。

例 

$a(b―c+d)=ab-ac+ad$

 
(2) (多項式) $\div$ (単項式):乗法の形になおして計算する。

例 

$(15a^2b^2-10ab^3) \div 5ab^2$ $=(15a^2b^2-10ab^3) \times \frac{1}{5ab^2}$ $=\frac{15a^2b^2-10ab^3}{5ab^2}$ $=3a-2b$

 
(3) (多項式) $\times$ (多項式):分配法則をくり返し用い計算する。

例 

$(a+b)(c+d)$$=a(c+d)+b(c+d)$$=ac+ad+bc+bd$

 
展開の公式
(1) $x^2+(和)x+(積)$ の形:$(x+a)(x+b)$$=x^2+(a+b)x+ab$
(2) $(x+a)^2$ の形:$(x+a)^2=x^2+2ax+a^2$
(3) $(x-a)^2$ の形:$(x-a)^2=x^2-2ax+a^2$
(4) $(和) \times (差)$ なら平方の差:$(x+a)(x-a)=x^2-a^2$

因数分解

本節では、因数分解の考え方について理解しましょう。まずは、多項式をいくつかの式の積で表現することを考えます。例えば多項式 $x^2+4x+3$ は $x^2+4x+3$$=(x+3)(x+1)$ という等式が成り立ちます。多項式 $x^2+4x+3$ を $(x+3),(x+1)$ に分解できたと考えることができます。このとき $(x+3),(x+1)$ を $x^2+4x+3$ の因数といいます。$3xy$ では $3,x,y,xy$ などが因数、数 $6$ では $6=2 \times 3$ と表せるため $2,3$ は $6$ の因数となります。このように、多項式をいくつかの因数の積としてあらわすことを、その多項式を因数分解するといいます。また $ma+mb+mc$ のように多項式の各項に共通な因数がある場合、それを括弧の外にくくりだすことで $m(a+b+c)$ というようにして式を因数分解することができます。また式を因数分解するとき、可能な限り因数分解したものを解答とします(多項式 $4abx+6aby$ は $a(4bx+6by)$ としても因数分解したことになりますが、式の中井に共通の因数 $2,b$ が残っているため、因数分解としては不正解です。可能な限り因数分解すると答えは $2ab(ax+3y)$ となります)。

続いて、式を展開する時に利用した「乗法公式」を逆に使うことで因数分解する方法を考えてみましょう。これまでに学んだ乗法公式の逆をまとめると (1) $x^2+(a+b)x+ab$$=(x+a)(x+b)$ (2) $x^2+2ax+a^2=(x+a)^2$ (3) $x^2-2ax+a^2=(x-a)^2$ (4) $x^2-a^2=(x+a)(x―a)$ となります。これらの関係を利用することで、式を簡単に因数分解することができるようになります。他にも、式の展開のときと同じように、文字の置き換えなどを利用することで、乗法公式の逆を使って因数分解できる場合も多くあります。たくさんの問題に取り組み、因数分解の手順に慣れていきましょう。

要点

次の手順で因数分解する
(1) 共通因数でくくる。
例1)$ma+mb=m(a+b)$
例2)$ma+mb-mc$$=m(a+b-c)$

(2) 因数分解の公式を用いる。$\to$ 展開の公式(1)~(4)と同じ。
例1)$x^2+(a+b)x+ab$$=(x+a)(x+b)$
例2)$x^2+2ax+a^2=(x+a)^2$
例3)$x^2-2ax+a^2=(x-a)^2$
例4)$x^2-a^2=(x+a)(x―a)$

式の計算の利用

ここまでに学んだ「展開」や「因数分解」を利用して、いろいろな問題を考えてみましょう。例えば $101^2-99^2$ という計算は因数分解を利用すると $(101+99)(101-99)$$=200 \times 2$$=400$ というように、簡単に計算することができます。演習を繰り返して、問題に応じてどのような公式を利用すれば上手く工夫して計算できるかを判断できるようになりましょう。

要点

整数の問題への利用:(以下$n$は自然数)
(1) 偶数は例えば $2n$ 奇数は例えば $2n-1$ と表現できる。
(2) 連続する3つの自然数は例えば $n,n+1,n+2$ と表現できる。

素因数分解

本節では、素因数分解の方法について理解しましょう。素因数分解の知識は、次節で学ぶ平方根の計算にも利用できます。また実生活のなかでは、暗号化技術などにも応用されている奥が深い単元です。興味のある方は、暗号解読に関する書籍などを読んでみて下さい。きっと夢中になるはずです。

要点

因数:自然数がいくつかの自然数の積で表されるとき、その一つ一つの数をもとの数の因数という。例えば $196$ は $196=4 \times 49$ と表せるため $4$ や $49$ は $196$ の因数である。
素数:$1$ とその数の他に約数がない数。つまり、それより小さい自然数の積で表すことができない自然数。例えば $2=2 \times 1$,$3=3 \times 1$,$5=5 \times 1…$ など。ただし $1$ は素数ではない。
素因数:素数である因数。例えば $196$ は $196=2^2 \times 7^2$ と表せるため $2$ と $7$ が $196$ の素因数である。
素因数分解:自然数を素因数だけの積として表すこと。

例 

$360$を素因数分解すると $360=2^3 \times 3^2 \times 5$

 

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著者紹介 旧帝大学生。自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学など、および学際的な研究領域に興味があります。

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