数学や歴史なんて役に立たない?【コトバ書店:漫画の棚】

漫画
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🔄 最終更新日 2020年7月20日 by takara_semi

本記事では漫画の中から心に響いた「ことば」をピックアップして紹介します。琴線に触れたり、新たな発見があったりと、本は好奇心をいつも掻き立ててくれます。興味のあるものがありましたら、是非手に取ってみて下さい。きっと明日から世界が変わって見えることでしょう。

竜の学校は山の上

世の中にはな- ふたつのものしかない 役に立つものと これから役に立つかもしれないもの だっ

九井 諒子, “竜の学校は山の上”, 1巻(全1巻), 8話, イースト・プレス (2011).

短編集の中の1つのお話。竜について学ぶ竜学部の学生が「竜なんか役に立たない」と言われて答えた言葉です。竜を飼い慣らしてもお金にならないし将来の役に立つかもわかりません。しかし、この学生は自分のやることに自信と誇りを持っているのです。そして充実した学生生活を送り、立派に人生を歩んでいます。竜の勉強だなんて、と思うかもしれませんが、私たちの学校での勉強だって、同じことが言えるかもしれません。「数学ができたって」「古文が読めたって」「歴史の暗記なんて」将来役に立たない。そんなふうに悩むことがあるかもしれません。その時に、この言葉を少し思い出して欲しいなと思います。世の中には、役に立つものと、これから役に立つかもしれないもの、どちらかしかないんだと。どちらにせよ、今学んでいることの全てに意味があるんだと。そんなことに気づかせてくれる一節です。

町田くんの世界

僕はがんばってる人を憐れんだりしません

安藤ゆき, “町田くんの世界”, 2巻(全7巻), 8話, 集英社(2015).

勉強を頑張る人、部活を頑張る人、趣味を頑張る人、誰かのために頑張る人、自分のために頑張る人。みんながんばってる。だから僕は人が愛しい。大切な人、身近な人、困っている人。全ての人を愛する主人公の町田くんと、その周囲の人とのやりとりは、どの場面を切り取っても素敵なもので、心が洗われます。ここで取り上げた一節以外にも、心に響く言葉が随所にあります。是非自分の心に響く言葉を探してみて下さい。

3月のライオン

知ってるひとができたとたん 橋の向こうに色がついたような気がした

羽海野チカ, “3月のライオン”, 1巻(最新13巻:連載中), 4話, 白泉社(2008).

慣れない街での一人暮らしで疲れて切っていた主人公が、新たな人との出会いをきっかけに、いつもの景色に色が付いたように感じた時の言葉です。人生は、新たな出会いによって想像以上に変化し、彩り豊かなものになるものです。学校や職場に、一人でも会うのが楽しみな人がいるだけで、何倍も元気が出るというようなことは、誰もが一度は経験していることでしょう。一人は気楽で楽しくもありますが、一方で、いつしか自分の色でしか世の中を見ることができなくなってしまう危険性もはらんでいます。いつもの景色がつまらなく感じた時は、人との出会いが必要なのかもしれないなと感じる一節です。

吉祥寺だけが住みたい街ですか?

好きなとこが1つでも見つかれば 引っ越すには十分な理由でしょ

マキヒロチ, “吉祥寺だけが住みたい街ですか?”, 1巻(最新5巻:連載中), 1話, 講談社 (2015).

引越しの理由は十人十色。主人公の不動産屋は、物件探しているお客さんと共に、引越し先の街をひたすら歩く。好奇心を持って街を歩けば、自分の琴線に触れるところがいくつも見つかるものです。そうして、多くのお客さんが、とてもいい顔で引越し先を決めていきます。生活の中に、好きなところが1つでも見つかれば、毎日が十分楽しくなるものです。これは「引越し」に限りません。日々の勉強も、好きなところを1つでも見つけるだけで、十分楽しくなるものなのです。

耳をすませば

大切だから 言葉にしよう …消えないように

柊あおい, “耳をすませば”, 1巻(全1巻), フェアベル (2014).

読書が大好きで図書館に通いつめていた主人公が「本を読んでも物足りない気がして」と友人に話をしたところ「じゃあ自分で書いてみれば?」と言われハッとして、小説家という夢を見つけた瞬間の言葉です。小説家に限らず、自分の中にある考えや気持ちなどの「想い」を言葉にする作業は大切なことでしょう。そんな主人公の夢に対する強い決意と、想いを言語化することの大切さがひしひしと伝わってくる一節です。

H2

4年間で ちゃんとプロとして 使える人材になります

あだち充, “H2”, 23巻(全34巻), 4話, 小学館(1992).

新聞記者を目指すヒロインのこの言葉に対して、プロ野球か進学かを考える主人公は「本来、おまえみたいなやつが行くとこなんだよな、-大学は」と続けます。高校の延長として、みんなが行くから大学へ進学するのではなく、将来自分がどうなりたいのか、どのようにして活躍したいのか、そのためにはどんな知識や技術、経験が必要なのか。大学受験は、いい大学に入ることが全てではありません。迷いながらでも、少しづつとでも、卒業後の夢や目標まで見据えた「意気込みと決意」を持って受験に臨んで欲しいと強く思う一節です。

まだまだ紹介したい「ことば」が山積していますので、随時、本記事を更新していきます。興味のある方は是非、また本ページに立ち寄って下さい。新たな発見のきっかけとなれば幸いです。


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takara_semi
著者紹介 旧帝大卒.自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学などの分野、および学際的な研究領域に興味があります.

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