🔄 最終更新日 2020年7月20日 by takara_semi
コトバ書店は心に響いた「ことば」を届けます。本記事では小説の中から心に響いた「ことば」をピックアップして紹介します。琴線に触れたり、新たな発見があったりと、本は好奇心をいつも掻き立ててくれます。興味のあるものがありましたら、是非手に取ってみて下さい。きっと明日から世界が変わって見えることでしょう。アルケミスト 夢を旅した少年
毎日が次の日と同じだということは、太陽が昇るというような、毎日起こっているすばらしいことに、気がつかないからなのだ。
パウロ・コエーリョ, “アルケミスト 夢を旅した少年”, KADOKAWA(1997).
毎朝必ずきまって太陽が昇る。これは当たり前の光景でしょうか。一切の先入観を捨てて、改めて朝日を眺めてみると、それがどれほど神秘的で、素晴らしい光景なのかを感じることができるでしょう。同じ学校、同じ職場、同じ世界。毎日が同じことの繰り返し。それを退屈だと捉えるか、素晴らしいことだと捉えるかは、あなたの受け取り方次第です。日々の小さな出会いや選択の中に楽しみを見出したり、季節の移ろいを感じたり。そういった当たり前の幸せを日々全身で感じられるようになれば、きっと退屈な日々とは無縁な人生を送ることができることでしょう。夢を旅した少年から届けられた力強い一節です。
本は自分が聞きたいと思う時に、信じられないような物語を話してくれる。
パウロ・コエーリョ, “アルケミスト 夢を旅した少年”, KADOKAWA(1997).
本を読むと世界が広がる。これは疑いようのない事実です。本はいつでも、あらゆる人に対し分け隔てなく、想像を超える物語を話す準備をして、ページがめくられる瞬間を待っています。困っている時、もっと成長したい時、癒されたい時、ワクワクしたい時。この夢を旅した少年の好奇心に満ちた言葉を目にするたびに、本屋や図書館へ足が自然と向かいます。世界的なベストセラーであるアルケミスト。是非一度手に取ってみて下さい。
算法少女
「この文字を読まれるのですか」「そうしなければ、あたらしい学問を手にいれられませんからな」
遠藤寛子, “算法少女”, 筑摩書房(2006).
「オランダでも、おなじ研究をしているのですね」「そうですとも。むしろ、計算のたやすさでは、むこうのほうがずっとすぐれているようだ。」と会話が続きます。その学問に熱心な姿勢に、主人公の算法を得意とする「算法少女」も感銘を受けます。算法とは、今で言う算数や数学に当たる学問です。算法は商売の基本であり、売買の正しさや価値を保証し正当な報酬を得るためにも大いに役立ち、古くから「生きていくための実学」として学び、研究されてきました。そしてその研究のために、外国語の理解が必要だったのです。現在でも、学術研究の最先端を学ぶためには外国語の理解が必須です。外国語という武器を持っているだけで、学びの世界はとたんに広がりを見せます。学びの好奇心を、日本国内に閉じているのはもったいない。学び本来の楽しみについて考えさせられる一節です。
モモ
いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。
ミヒャエル・エンデ, “モモ”,岩波書店(2005).
ひと休みして、考えこみ、また休みをとって。すると勉強も楽しくなってくる。楽しければ、勉強がはかどります。そしてまたまた休みをとってから、考えこむ。ふと気がついたときには、一歩一歩進んできた勉強が全部終わっている。どうやってやり遂げたかは覚えてないし、疲れもたまってない。こんな風に学ぶことができれば、生涯楽しく学び続けることができます。毎日忙しいことがいいことなのでしょうか。働き過ぎの大人、習い事だらけの子供。人生において時間とはいったい何なのか。本書を読めば、そのヒントが得られるはずです。
時をかけるゆとり
今までは「フッ、きれいごと言うな」等と鼻で笑っていたような言葉が、血液の中に溶けて全身を駆け巡る。人生、諦めなければ何でもできるんだ。これは本当なんだ。
朝井リョウ, “時をかけるゆとり”, 文藝春秋(2014).
「人類みな平等」「世の中お金じゃない」「努力は必ず報われる」。初めて聞いたときには、そんなきれいごとは聞きたくない、と少しは抵抗を感じるものです。しかし、自分の心に響いた「きれいごと」は、今の自分にとって必要な言葉なのかもしれません。人に言ってしまってはただの「きれいごと」かもしれませんが、自分に語りかける場合は、生き方の芯となる大切な「心の支え」となることもあるでしょう。きれいごとを鼻で笑ってばかりいるのではなく、素直な気持ちで受け止められるようになったとき、世界は今より彩り豊かなものに見えるのかもしれません。