英語が上手かどうかは遺伝子で決まる【コトバ書店:科学の棚】

科学
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🔄 最終更新日 2020年7月20日 by takara_semi

本記事では科学関連書籍の中から心に響いた「ことば」をピックアップして紹介します。琴線に触れたり、新たな発見があったりと、本は好奇心をいつも掻き立ててくれます。興味のあるものがありましたら、是非手に取ってみて下さい。きっと明日から世界が変わって見えることでしょう。

ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか

人間とコンピュータはまったく違った方法で考えるので、この2つを比較するのは、リンゴとオレンジを比較するようなものだという問題がある。

ランドール・ マンロー, “ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか”, 早川書房(2015).

人間VSコンピュータ。近年、その対決が多くの分野で注目を集めています。古くはチェスやクイズにおいて、世界チャンピオンの人間がコンピュータ(Deep BlueとWatson)に負け、最近では囲碁においてプロ棋士が人工知能(AlphaGo)に敗れ、また多くの大学に合格できるだけの性能を有する「東ロボくん」なるものまで開発されました。ここまでくると、人間の知能はあっという間にコンピュータに追い越されてしまい、人間の役割がなくなってしまうのではないかと心配する人が出てきても不思議ではありません。しかしながら、本書にある言葉の通り、人間とコンピュータとでは、そもそも思考や認識のプロセスが全く異なるため、比較しようがありません。コンピュータは単純計算に強く、人間は想像力と柔軟性に富んでいます。本書には様々な興味深い思考実験が紹介されていますが、これはまさに人間の豊かな想像力のたまものです。ユーモアに富んだ本書に触れ、人間の持つ可能性に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬

私の下手な英語は、きっと生まれつきなのでしょう。観念するほかありません。だとすればネイティブ並みに上達するよう努力するのでなく、あくまでも会話のツールとして「楽しむ」ことに専念するほうが、いろいろな意味で健全だと言えそうです。

池谷裕二, “脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬”, 朝日新聞出版(2016).

英語がなかなか上達しない。隣の席の友人は流ちょうに話しているのに。なぜだろうか。その理由は「遺伝子」にあるかもしれません。2009年から2010年にかけて報告された2つの研究調査によれば「第二言語の習得は環境よりも遺伝的要因が大きく、その寄与率がおよそ7割にのぼる」ということが分かっています。運動が苦手な人がいるように、英語が苦手な人がいるのです。運動は苦手でもみんなと一緒に楽しむことができます。それと同じように、英語も、苦手でも会話を楽しむことができるはずです。かっこよく話せることを目指すのではなく、かっこわるくても楽しむことで英語が好きになり、どんどん英語で話をしたくなる。そのように「英語」というものを捉え直すと、不思議と英語に対する抵抗がなくなります。池谷裕二先生の著書は沢山ありますが、どの書籍も心からおすすめします。世界中の最新の研究について、日常でも活かせるような形で非常に分かりやすく、そして面白く伝えてくれます。本書に限らず、興味のあるタイトルや内容の本が一冊でもあれば、是非一度、手に取ってみて下さい。

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

選択肢が三つあると、たいていの人が真ん中を選ぶことも心得ている

ダン アリエリー, “予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」”, 早川書房(2013).

人間には無意識的な「脳の癖」があります。例えば脳は視覚的な錯覚をさけることができません。両端が内向きと外向きの「く」の字をした2本の棒を見て「どちらの方が長く見えるか?」という目の錯覚の問題を、だれしも一度はみたことがあるでしょう。そして人間は、視覚だけではなく「認識や判断」においても脳の癖があり、錯覚を起こすのです。その一つの例が「選択肢が三つあると真ん中を選びがち」です。本当は合理的な選択肢があるにもかかわらず「どれでもいいや」と思っている人の多くは真ん中を選んでしまうのです。これが「予想通りに不合理」な選択になるわけです。つまり人は、全て自分の意思で選択しているようでいて、実は他人にデザインされた「予想された」行動を選択してしまっているという訳です。同様の例として、人は任意のチェックボックスにはチェックをしない、という脳の癖があります。「どっちでもいい」と感じる内容の設問であれば、多くの人はチェックをしないのです。その性質を利用することで、ヨーロッパのある国では、死後の臓器提供に同意する人が9割以上に達しています。つまり臓器提供の意思を問う設問の文言を「死後に臓器を提供”したくない”人はチェックをしてください」としたのです。一方、この文言を「死後に臓器提供”する”人はチェックをしてください」とした国では、高々3割程度の人しか、臓器提供に同意しなかったのです。この結果は死後の話をされても「どっちでもいい」と考える人が如何に多いかということも示しています。つまり結局「どっちでもいい」という考えが「予想通りに不合理」な行動をさせられてしまう根源なのです。受験や就職など、人生を左右する大事な選択の際に、自分の意思を以って行動したいのであれば「どっちでもいい」という考えを捨て、明確な信念を持って判断する必要があるということです。人間の行動というのは複雑な側面もありますが、一方で滑稽なほど単純な側面もあるということは、知っておくべきでしょう。人間の行動に興味を持たれた方は、是非一度、本書に目を通してみて下さい。きっと新しい発見があるはずです。


まだまだ紹介したい「ことば」が山積していますので、随時、本記事を更新していきます。興味のある方は是非、また本ページに立ち寄って下さい。新たな発見のきっかけとなれば幸いです。

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takara_semi
著者紹介 旧帝大学生。自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学など、および学際的な研究領域に興味があります。

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