🔄 最終更新日 2019年12月11日 by takara_semi
中1 > 1章:正負の数
本章では小さい数から大きい数を引く計算を学び「数の世界」を広げます。
正負の数
様々な「高い」「低い」と「正の数(正の符号$+$のついた数)」と「負の数(負の符号$-$のついた数)」を理解しましょう。例えば富士山の標高は $+3776$m 青函トンネルの最深部の標高は $-240$m です。埼玉の熊谷市では $+41℃$ 北海道の旭川市では $-41℃$ を記録しています。色々な数に触れて正負の数に慣れましょう。
正の数:$0$ より大きい数
例
$+7$, $+1.5$, +$\frac{1}{3}$
例
$-3$, $-0.7$, $-\frac{5}{2}$
例
$1,2,3,…$
$a$ の絶対値:数直線上で原点から点 $a$ までの距離のこと。
例
$-3$ の絶対値は $3$, $+3$ の絶対値も $3$ となる。負の数は絶対値が大きいほど数の大小としては小さい数になる。
加法と減法
本節では正負の数の加法(足し算)と減法(引き算)について学びます。例えば $(+5)+(-3)$ と $5-3$ は等しいでしょうか。計算結果は同じですが、正負の数の考え方を理解するためには、これらの式の違いを理解する必要があります。計算や数の意味を数直線などを利用して正しく理解しましょう。
加法①:同符号の2数の和:加法の結果を「和」という。同符号の2数の和では絶対値の和に共通の符号をつける。
例
$(-3)+(-2)$$=-(3+2)$$=-5$
(1) 絶対値の差に絶対値が大きい方の符号をつける。
例
$(+3)+(-2)$$=+(3-2)$$=-1$
例
$(+97)+(-97)=0$
例
$(-8)+0=-8$, $0+(+3)=3$
例
$(+8)-(-2)$$=(+8)+(+2)$$=10$ つまり $-2$ を引くことは $+2$ を加えることと同じ。
※ $0$ との減法:どんな数から $0$ を引いても差ははじめの数になる。
例
$(-3)-0=-3$, $0-(+10)=10$
(1) 左から順に計算する。
(2) 加法と減法の混じった式では加法だけの式にする。
例
$(+3)+(-5)-(-6)-(+2)$$=(+3)+(-5)+(+6)+(-2)$
※ $+3, -5, -6, +2$ を式の項という。
例
$(+3)+(-5)+(+6)+(-2)$$=(3+6)+(-5-2)$$=(+9)+(-7)=2$
乗法と除法
正負の数の乗法(掛け算)の考え方を理解しましょう。特に、負の数を掛けることが、数直線上で反対方向へ向かうイメージを持ち、2数の積・商(乗法・除法の結果)の符号を間違えないようにしましょう。
同符号の2数の積・商:絶対値の積・商に $+$ の符号をつける。
例
$(-1) \times (-1)=1$
例
$(-1) \times (+1)=-1$
例
$376 \times 0=0$, $0 \div 33=0$, $3 \div 0$ は計算できない。
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例1)$3 \times 3 = 3^2$($3$ の $2$ 乗。指数は$2$。$2$乗を平方ともいう)
例2)$3 \times 3 \times 3= 3^3$($3$ の $3$乗。指数は$3$。$3$乗を立方ともいう)
逆数:2つの数の積が $1$ のとき一方の数を他方の数の逆数という。
(1) $-3$ の逆数は $(-3) \times \left(-\frac{1}{3} \right)=1$ であるから $-\frac{1}{3}$ だと分かる。
(2) 逆数を利用することで除法を乗法になおすことができる。
例
$10 \div (-5)$$=10 \times \left(-\frac{1}{5} \right)$$=-2$
※ 分数の負の数の表現について:
(2) $\frac{a}{-b}$$=a \div (-b)$$=-(a \div b)$$=-\frac{a}{b}$ である。
(1)(2)より、分数の分子もしくは分母に $-$ が付いているときは分数の前に移動させることができる。
乗法と除法の混じった式:除法は逆数を利用して乗法に直して計算する。また符号は負の数が奇数個あれば $-$ 負の数が偶数個あれば $+$ となる。
例
$(-3) \div \frac{1}{3} \times (-2)$$=+(3 \times 3 \times 2)=18$
色々な計算
これまでに学んだ加法・減法・乗法・除法をまとめて四則といいます。本項では四則の色々な計算について考えていきます。2つの正負の数の加法(および減法)や乗法(および除法)では、計算の順番を入れ変えてもその結果は変わりません。これを交換法則といいます。他にも、計算の順序を括弧を用いて変えても計算結果が変わらない結合法則や、式を分けて計算する分配法則などがあります。これらを利用して、一見複雑な計算を工夫して簡単に計算してみましょう。
計算法則:
(1)加法について:
交換法則:$A+B=B+A$
結合法則:$(A+B)+C=A+(B+C)$
分配法則:$(A+B) \times C$$=A \times C+B \times C$
交換法則:$A \times B=B \times A$
結合法則:$(A \times B) \times C=A \times (B \times C)$
分配法則:$A \times (B+C)$$=A \times B+A \times C$
四則の混じった式の計算:
(1) 加減と乗除の混じった計算では乗法・除法を先に計算する。
(2) 括弧のある式の計算では括弧の中を先に計算する。
(3) 累乗のある式の計算では累乗を先に計算する(累乗は乗法としてみることができる)。
例
$-3^2-2 \times (-3)$$=-(3 \times 3)+(-2) \times (-3)$$=-9+6=-3$
例1
身長:平均身長との差を考える。13歳の平均身長が $158$cm だとすると $160$cmのAくんは平均 $+2$cm $155$cmのBくんは平均 $-3$cmと表現できる。
例2
気温:天気予報では前日の気温と比較した今日の気温が書かれていることが多い。前日が $20℃$ で翌日の気温が $17℃$ だった場合は $17℃(-3℃)$ のように書かれる。もし今日の気温が $25℃$ だった場合は $25℃(+5℃)$ のように書かれる。
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