1章:式と証明

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🔄 最終更新日 2021年5月29日 by takara_semi

第1章:式と証明

本章では「」「」「1」について学習します.

第1節:式と計算


整式の加法と減法
整式は以下の要領で整理する.
(a) 同類項を1つの項にまとめる.
(b) 1つの文字に着目し,各項を次数が低くなる順に並べて整理する.このことを「降べきの順に整理する」という.整式が答えとなる場合,基本的に降べきの順に整理した形で答える.

整式の乗法
整式の乗法では指数法則・分配法則・因数分解と展開の公式を用いる.

指数法則

$m,n$が正の整数のとき

$a^m \times a^n = a^{m+n}$, $(a^m)^n = a^{mn}$, $(ab)^n = a^nb^n$

($m,n$を正の整数に制限しない一般的な指数法則については後に学習する)

分配法則

整式 $A,B,C$ について

$A(B+C)=AB+AC$, $(A+B)C=AC+BC$

因数分解は以下の要領で工夫して実行する.
(a) 共通の因数があればくくり出す.
(b) 因数分解の公式を利用できるように式を整理する.具体的には「次数の最も低い文字について,降べきの順に式を整理する」「置き換えや項の組合わせを考える」などの方法が有効である.
(c) 因数分解の公式を利用する.

因数分解と展開の公式

(1) $(a±b)^2$$=a^2±2ab+b^2$ (複号同順)
(2) $(a+b)(a-b)$$=a^2-b^2$
(3) $(ax+b)(cx+d)$$=acx^2+(ad+bd)x+bd$
(4) $(a+b+c)^2$$=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca$
(5) $a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca$$=\frac{1}{2}\{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\}$
(6) $(a^2+b^2)(x^2+y^2)$$=(ax+by)^2+(ay-by)^2$

 発展・応用 
3次以上の整式の展開と因数分解
以下の公式などで整理可能である.入試問題などでこれらの知識が問われる場合が多いため,扱いに慣れておくことが望ましい.

因数分解と展開の公式

(1) $(a±b)^3$$=a^3±3a^2b+3ab^2±b^3$ (複号同順)
(2) $a^3±b^3$$=(a±b)(a^2∓ab+b^2)$ (複号同順)
(3) $a^3+b^3+c^3-3abc$$=(a+b+c)$$(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)$
(4) $a^n-b^n$$=(a-b)(a^{n-1}+a^{n-2}b+…$$+ab^{n-2}+b^{n-1})$ ($n=2,3,4,…$)
(5) $a^n+b^n$$=(a+b)(a^{n-1}-a^{n-2}b+…$$-ab^{n-2}+b^{n-1})$ ($n$が$3$以上の奇数の場合)

 補足・詳説 
整式(多項式)
$x$ についての整式(多項式)とは $a_{0}x^{n}+a_{1}x^{n-1}+…$$+a_{n-1}x+a_{n}$ と書かれたもの.

係数・項
$x$ についての整式 $a_{0}x^{n}+a_{1}x^{n-1}+…$$+a_{n-1}x+a_{n}$ の $a_{0}, a_{1}, … a_{n-1}, a_{n}$ の部分を係数,$a_{0}x^{n}, a_{1}x^{n-1}, … , a_{n-1}x, a_{n}$ を項という.

次数
係数が$0$でない項の中で,$x^N$ の$N$が最大である場合,その式の次数は$N$($N$次式,$N$次の整式,高々$N$次の整式)となる.また,$N=0$の場合(定数の場合)は$0$次の整式となる.ただし定数$0$についての次数は定められない.

また$m$次式と$n$次式の2つの整式の積は$(m+n)$次式となる.一方$m$次式と$n$次式の2つの整式の和は
(i) $m>n$:($m$次式)+($n$次式)=($m$次式)
(ii) $n>m$:($m$次式)+($n$次式)=($n$次式)
(iii) $m=n$:($m$次式)+($n$次式)=($(m~0)$次式)(高次の項が計算過程で相殺され消える場合があるため,$m=n$の場合の和は$(m~0)$次式となる)


第2節:実数


実数
自然数$1,2,3,…$と$0$および負の整数$-1,-2,-3,…$とを合わせて「整数」という.また「実数」は有理数と無理数に分類される.「有理数」は分数の形,つまり$\frac{q}{p}$($p,q$は整数,$p≠0$)の形に表される数であり,整数,有限小数,循環小数(いくつかの同じ数字の並びが繰り返される無限小数)がそれに属する.ここで$p,q$の最大公約数が$1$(つまり$p,q$が互いに素な整数)であるような分数を「既約分数」という.「無理数」は分数で表すことのできない数であり,循環しない無限小数が属する.例えば$\sqrt{2}$や$\pi$などが無理数である.

絶対値・根号
数直線上で,実数$a$に対応する点と原点との距離を$a$の絶対値といい,記号$|a|$で表す.

絶対値の定義

$|a| = \begin{cases}
a & (a≧0) \\
-a & (a<0)
\end{cases}$

また絶対値の性質として,実数 $a,b$ に対して以下の関係が成り立つ.

絶対値の性質

$|a|≧0$, $|a|≧a$, $|a|≧-a$, $|a|^2=a^2$, $|a||b|=|ab|$,

2乗すると$a$になる数を,$a$の平方根という.正の数$a$の平方根のうち正のものを$\sqrt{a}$,負のものを$-\sqrt{a}$と表す.また,$\sqrt{0}=0$であり,負の数の平方根は実数の範囲では存在しない.

平方根と絶対値の関係

$\sqrt{a^2}=|a|$

平方根の公式

$a>0,b>0$のとき

(1) $\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{ab}$ (2) $\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}}$ (3) $\sqrt{a^2b}=a\sqrt{b}$

分母の有理化(分母の根号をなくす)が必要な場合は,次のように計算する.$a,b$ が正の有理数,$a-b^2≠0$の場合 $\frac{1}{\sqrt{a}+b}$$=\frac{(\sqrt{a}-b)}{(\sqrt{a}+b)(\sqrt{a}-b)}$$=\frac{\sqrt{a}-b}{a-b^2}$.

 発展・応用 
2重根号
2重根号が計算過程で出てくる問題は多くある.一見複雑に見える2重根号だが,その扱いに慣れていれば適切に対応できる.そのためには,以下の公式を理解・利用すればよい.

2重根号の外し方

(1) $a>0,b>0$ のとき $\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}$$=\sqrt{a}+\sqrt{b}$
(2) $a>b>0$のとき $\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}$$=\sqrt{a}-\sqrt{b}$

2次方程式の解
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ $(a,b,c$ は実数,$a≠0)$ の解は,平方完成を利用して式を整理することで,以下のようにして求められる.

2次方程式の解の公式

$x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$

本公式は利用頻度が多く,暗記しておくことが必須であるが,平方完成を用いて公式を導く方法も理解しておくことが望ましい.また,1次の項の係数が偶数の場合,つまり $ax^2+2b’x+c=0$ $(b=2b’)$ となる場合は以下の公式で計算を簡便化できる.

2次方程式の解の公式(b=2b’)

$x=\frac{-b’±\sqrt{{b’}^2-ac}}{a}$

2つの公式が混同してしまう場合は,基本形の2次方程式の解の公式を理解しておけば十分である.公式の扱いに慣れてきた場合は,問題に応じて使い分けられることが望ましい.

第3節:1次不等式


不等式の性質
実数の大小関係として,任意の2つの実数$A,B$について$A>B$, $A=B$, $A<B$のどれか1つのみが成り立つ.また不等式の計算の基本として以下が成り立つ.

不等式の計算の基本

(1) $A<B$ ならば $A+C<B+C$,$A-C<B-C$
※ 同じ数を加えても引いてもよい
(2) $A<B$, $C>0$ ならば $AC<BC$, $\frac{A}{C}<\frac{B}{C}$
※ 同じ正の数を掛けても,同じ正の数で割ってもよい
(3) $A<B$, $C<0$ ならば $AC>BC$,$\frac{A}{C}>\frac{B}{C}$
※ 同じ負の数を掛けたり割ったりすると不等号の向きが変わる
(4) $A<B$, $C<D$ ならば $A+C<B+D$
※ 不等号が同じ向きの不等式は辺々を加えてもよい
(5) $0<A<B$, $0<C<D$ ならば $AC<BD$
※ 正ならば不等号が同じ向きの不等式は辺々掛けてもよい

元の不等式が成立しなくなるような計算はしてはいけない.例えば「辺々減じる」「両辺2乗」「辺々掛ける」「0以外の同じ数で割る」などの計算は,不等式が成り立たなくなる反例が存在するため,特別な条件がない場合は基本的に行ってはいけない計算となる.

1次不等式の解法
1次不等式を解く方法としては,まず式を整理し,$ax>b$, $ax<b$, $ax≧b$, $ax≦b$ の形にする。そして両辺を$x$の係数$a$で割ることで解が得られる.$a<0$のときは不等号の向きが変わることに注意する.つまり整理すると以下のようになる.

1次不等式の解

(i) $ax>b$の解:

$a>0$のとき $x>\frac{b}{a}$
$a<0$のとき $x<\frac{b}{a}$

 
 
(ii) $ax<b$の解:

$a>0$のとき $x<\frac{b}{a}$
$a<0$のとき $x>\frac{b}{a}$

連立不等式の解法
連立不等式は以下のように考えることで,解を導くことができる.

連立不等式の解

(i) 連立不等式$\begin{cases}
A>0& \\
B>0&
\end{cases}$の解:$A>0$の解と$B>0$の解の共通範囲
(ii) 不等式 $A<B<C$ の解:$A<B$と$B<C$が同時に成り立つことを意味し,連立不等式$\begin{cases}
B>A& \\
C>B&
\end{cases}$の解が,不等式 $A<B<C$ の解となる

絶対値を含む方程式・不等式の解法
絶対値を含む方程式・不等式は次のように考えることで解くことができる.

絶対値と方程式・不等式

$x$は実数,$a>0$とすると

(1) $|x|=a$ の解は $x=±a$
(2) $|x|<a$ の解は $-a<x<a$
(3) $|x|>a$ の解は $x<-a, a<x$
(4) $|f(x)|<g(x)$$⇔-g(x)<f(x)<g(x)$

またグラフを考える必要がある場合は,次のように場合分けをして考える必要がある.

絶対値記号を含む関数

$|f(x)| = \begin{cases}
f(x) & (f(x)≧0) \\
-f(x) & (f(x)<0)
\end{cases}$

これは絶対値の定義を関数$f(x)$に適用したものであり,絶対値の意味を理解していれば自然な考え方であることが分かる.要点は「絶対値記号を含む関数の問題を解く」=「場合分けの必要性を考える」ことである.

 発展・応用 
文字係数の方程式・不等式
文字係数の方程式・不等式を解く場合は,以下のような場合分けが必要となる.

文字係数による場合分け

(i) $a,b$が実数のとき,$x$の方程式$ax=b$の解:

$a≠0$ のとき $x=\frac{b}{a}$
$a=0$ かつ $b≠0$ のとき 解なし
$a=0 $かつ $b=0$のとき すべての実数

 
 
(ii) $a,b$が実数のとき,$x$の不等式$ax>b$の解:

$a>0$ のとき $x>\frac{b}{a}$
$a<0$ のとき $x<\frac{b}{a}$
$a=0$ かつ $b≧0$ のとき 解なし
$a=0 $かつ $b<0$のとき すべての実数

また「絶対不等式」については以下のことがいえる.

絶対不等式

$p,q$が実数のとき

すべての実数$x$に対して$px+q>0$ ⇔ $p=0$ かつ $q>0$

整数部分(ガウス記号)
実数$x$に対し,$x$を超えない最大の整数を$[x]$で表し,これを$x$の整数部分という($[ ]$をガウス記号という).つまり, $A≦[x]<A+1$($A$は整数)のとき,$[x]=A$と表すことができる.また,$[x]=A$であるとき,$x=A+\alpha$($A$は整数,$0≦\alpha<1$)と表すことができ,$\alpha$を$x$の小数部分という.上記のような性質から,ガウス記号について,以下の不等式が成り立つ.

ガウス記号と不等式

$[x]≦x<[x]+1$

第1章 式と証明
第1節 式と計算
1 3次式の展開と因数分解
1 3 次式の展開の公式
 1  3 0 1 +a b = 3 a +3 2 a b+3a 2 b + 3 b ,  3 0 1 -a b = 3 a -3 2 a b+3a 2 b – 3 b
 2 0a 1 +b 0 2 a -ab 1 + 2 b = 3 a + 3 b ,  0a 1 -b 0 2 a +ab 1 + 2 b = 3 a – 3 b
2 3 次式の因数分解の公式
    3 a + 3 b =0a 1 +b 0 2 a -ab 1 + 2 b ,  3 a – 3 b =0a 1 -b 0 2 a +ab 1 + 2 b
u  3 a +3 2 a b+3 2 ab + 3 b = 3 0 1 +a b ,  3 a -3 2 a b+3 2 ab – 3 b = 3 0 1 -a b
2 二項定理
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
a+b
2 0 1 +a b
3 0 1 +a b
4 0 1 +a b
5 0 1 +a b
n=1
n=2
n=3
n=4
n=5
1 パスカルの三角形
 1 数の配列は左右対称で,各行の両端
   の数は 1 である。
 2 2 行目以降の両端以外の数は,左上
   と右上の数の和に等しい。
2 二項定理
  n 0 1 +a b = 0 n C n a + 1 n C -n 1 a b+ 2 n C -n 2 a 2 b
         +……+ r n C -n r a r b +……+ -n 1 n C -n 1 ab + n n C n b
3  n 0 1 + + a b c の展開式 研究
  n 0 1 + +a b c の展開式の一般項は
        
n !
p!q!r!
p a q b r c   ただし p+q+r=n
3 整式の割り算
1 整式の割り算
 1 整式 A を整式 B で割った商を Q,余りを R とすると
       A=BQ+R (ただし,R は 0 か,B より次数の低い整式)
 2 整式 A を整式 B で割った商と余りを求める計算では,A,B を降べきの順に整理
   してから行う。
4 分数式とその計算
1 分数式
 2 つの整式 A,B によって
A
B
の形に表され,B に文字を含む式を,分数式 という。
2 分数式の計算
 1 
A
B
=
%A C
%B C

A
B
=
&A D
&B D
  0C’0,D 1 ‘0
 2 
A
B
%
C
D
=
AC
BD

A
B
&
C
D
=
A
B
%
D
C
=
AD
BC
 3 
A
C
+
B
C
=
+A B
C

A
C

B
C
=
-A B
C
3 部分分数に分解 a’b のとき
    
1
0 1 +x a 0 1 +x b
=
1
-b a 8 1
+x a 9 –
1
+x b
5 恒等式
1 恒等式の性質
 恒等式の両辺が x についての整式のとき,各辺で同類項を整理すると,次のことが成
 り立つ。
      両辺の同じ次数の項の係数は,それぞれ等しい。
 たとえば,a,b,c,a-,b -,c- を定数とするとき,次のことが成り立つ。
 1 a 2 x +bx+c=a- 2 x +b -x+c- が x についての恒等式である
     a=a-,b=b -,c=c-
 2 a 2 x +bx+c=0 が x についての恒等式である
     a=b=c=0
2 恒等式の係数決定
 ① 係数比較法 両辺の同じ次数の項の係数を比較する。
 ② 数値代入法 適当な値を代入して,連立方程式を作り,それを解く。
         (逆の確認が必要)
第2節 等式・不等式の証明
6 等式の証明
1 恒等式の証明
 恒等式 A=B の証明方法
 1 A か B の一方を変形して,他方を導く。
 2 A と B の両方を変形して,同じ式を導く。
 3 A-B を変形して,0 になることを示す。
2 条件つきの等式の証明
 ① 条件式を用いて文字を消去し,1 で示した恒等式の証明方法で行う。
 ② 条件式が
a
b
=
c
d
( a:b=c:d,a:c=b:d) のような比の値を用いた
  式 (比例式) のときは,0 1 比の値 =k とおく。
7 不等式の証明
q 以下では,とくに断らない限り,文字は実数を表すものとする。
1 実数の大小関係
 0 2 つの実数 a,b については,a>b,a=b,ab,b>c a>c
 2 a>b    a+c>b+c,a-c>b-c
 3 a>b,c>0 ac>bc,
a
c
>
b
c
 4 a>b,c<0 acb a-b>0       6 a0,b>0 のとき   2 a > 2 b a>b, 2 a ) 2 b a)b
 絶対値   a )0, a )a, a )-a, 2 a = 2 a , ab = a b
 相加平均と相乗平均の大小関係
    a>0,b>0 のとき  
+a b
2
)Uab   (等号は a=b のとき成り立つ)
クリア数Ⅱ-式と証明-要項
-1-

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著者紹介 旧帝大卒.自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学などの分野、および学際的な研究領域に興味があります.

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