3章:整数の性質

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🔄 最終更新日 2021年5月31日 by takara_semi

3章:整数の性質

本章では「約数と倍数」「ユークリッドの互除法」「整数の性質の活用」について学習する.

第1節 約数と倍数


約数と倍数
(a) 約数・倍数
ある2つの整数 $a,b$ について,ある整数 $k$ を用いて $a,b$ の関係が $a=bk$ と表されるとき,$b$ を $a$ の「約数」($a$ は $b$ で割り切れる),$a$ を $b$ の「倍数」($a$ は $b$ の定数倍)という.約数,倍数は,これまで使用してきた言葉であるが,先述のような数学的な定義ができる(言い換えができる)ことは正確に理解しておくこと.

(b) 倍数の判定法
例えば$31721$という数字が$9$の倍数かどうか,すぐに判断できると便利な場合がある.このような時に,$31721$が$9$で割り切れるかどうかを計算して確かめてもよいのだが「$2$の倍数」「$3$の倍数」「$4$の倍数」「$5$の倍数」「$9$の倍数」であるかどうかの判定法として,以下の関係が知られている.

倍数の判定法

(i) $2$の倍数 $\cdots$ 1の位が偶数 ($0,2,4,6,8$のいずれか)
(ii) $3$の倍数 $\cdots$ 各位の数の和が$3$の倍数
(iii) $4$の倍数 $\cdots$ 下$2$桁が$4$の倍数
(iv) $5$の倍数 $\cdots$ 1の位が $0,5$ のいずれか
(v) $9$の倍数 $\cdots$ 各位の数の和が$9$の倍数

(*) その他の倍数についても,(i)~(v)を組み合わせることで判定することができる.例えば「$12$の倍数」かどうかは「$3$の倍数かつ$4$の倍数」かどうかを調べればよいので,与えられた数が(ii)と(iii)の両方を満たすかどうかを調べればよい.
 
(**) (i)~(v)の判定法は容易に証明可能である.(i)は自明,(ii)の証明は次の通り.ある $N$ 桁の整数 $M$ は,1の位の数を $a_1$, 10の位の数を $a_2$, $\cdots$, $10^N$ の位の数を $a^N$ とすることで $M=10^N a_N + \cdots + 10 a_2+a1$ と表すことができる.ここで,$9$を $k$ 個並べた数を $q_k$ とすることで,$10^k a_k=(q_k+1)a_k=q_k a_k+a_k$ という関係より,$M$ は次のように変形できる.

$\begin{eqnarray}
M &=& 10^N a_N+\cdots+10a_2+a1\\
&=& (q_N a_N+a_N)+\cdots+(q_2a_2+a_2)+a1\\
&=& (q_N a_N+\cdots+q_2 a_2)+(a_N+\cdots+a_2+a1)
\end{eqnarray}$

となり,各位の数の和 $(a_N+\cdots+a_2+a1)$ が$3$の倍数であれば,$M$ は$3$の倍数となることが分かる.(iii)~(v)についても証明可能であるが,ここでは割愛する.良い演習問題となるので,各自証明してみることが望ましい.
 
 

(c) 素因数分解
素因数分解とは「自然数を素数だけの積の形に表す」という数学的操作である.素数とは「2以上の自然数で,正の約数が1とその数自身のみである数」であり,素数でない数は「合成数」という(2以上の自然数で,素数でない数).また因数とは「整数がいくつかの整数の積で表されるとき,そのそれぞれの整数」のことであり,その因数の中で,素数であるものを「素因数」という.また,素因数分解を利用することで,以下のようにして,約数の個数を求めることができる.

約数の個数

自然数 $N$ の素因数分解が $N= p^a \cdot q^b \cdot r^c \cdots \cdots$ となるとき,$N$ の正の約数の個数は

$(a+1)(b+1)(c+1) \cdots \cdots $


(*)これは,次のようにして考えることで証明できる.ある自然数 $N$ が,$N= p^a \cdot q^b \cdot r^c \cdots \cdots$ と素因数分解できるとき,$N$ の約数は $p^{0~a}$, $q^{0~b}$, $r^{0~c}$, $\cdots \cdots$ の積の組合せで表される(例えば $pq,q^br,p^a$ などは $N= p^a \cdot q^b \cdot r^c \cdots \cdots$ の約数であることが分かる).よって,$p$ の取り出し方は $p^0$~$p^a$ の $a+1$ 通り,$q$ の取り出し方は $q^0$~$q^b$ の $b+1$ 通り,$r$ の取り出し方は $r^0$~$r^c$ の $c+1$ 通り,$\cdots$ となるので,その組み合わせを考えると,$(a+1)(b+1)(c+1) \cdots \cdots $通りとなり,約数の個数の関係が導かれた.

最大公約数・最小公倍数
(a) 最大公約数・最小公倍数
公約数:2つ以上の整数に共通する約数
最大公約数:公約数のうち最大のもの

公倍数:2つ以上の整数に共通する倍数
最小公倍数:正の公倍数のうち最小のもの

公約数は最大公約数の約数,公倍数は最小公倍数の倍数である.

(b) 互いに素
2つの整数 $a,b$ の最大公約数が1であるとき,$a,b$ は「互いに素」であるという.

$a,b,c$ は整数で,$a,b$ が互いに素であるとき,次のことが成り立つ.
① $ac$ が $b$ の倍数であるとき,$c$ は $b$ の倍数である.
② $a$ の倍数であり,$b$ の倍数でもある整数は,$ab$ の倍数である.

(c) 最大公約数・最小公倍数の性質
2つの自然数 $a,b$ の最大公約数を $G$,最小公倍数を $L$ とする.$a=Ga’$,$b=Gb’$ であるとき,次のことが成り立つ.

(i) $a’,b’$ は互いに素である自然数
(ii) $L=Ga’b’$
(iii) $ab=GL$

整数の割り算と商・余り
(a) 割り算における商と余り
整数 $a$ と正の整数 $b$ について,$a=bq+r$,$(0<r<b)$ となる整数 $q$,$r$ は1通りに定まる.$q$ を,$a$ を $b$ で割ったときの商,$r$ を余りという.$r=0$ のとき,$a$ は $b$ で割り切れるといい,$r≠0$ のとき,$a$ は $b$ で割り切れないという.

(b) 余りによる整数の分類
すべての整数は,次のように分類できる.ただし,$k$ は整数,$m$ は正の整数である.
(i) 2で割ったときの余りで分類 → $2k$,$2k+1$ (偶数と奇数)
(ii) 3で割ったときの余りで分類 → $3k$,$3k+1$,$3k+2$
(iii) $m$ で割ったときの余りで分類 → $mk$,$mk+1$,$\cdots \cdots$,$mk+(m-1)$

整数についての事柄 (とくに倍数や余りに関する性質) を証明するときは,整数をある正の整数で割ったときの余りで分類すると示しやすいことがある.

(c) 連続する整数の積の性質
(i) 連続する2つの整数の積は2の倍数 (偶数) である.
(ii) 連続する3つの整数の積は6の倍数 (2の倍数かつ3の倍数) である.

(d) 和,差,積の余り
割り算の余りの性質:$m$,$k$ は正の整数とする.2つの整数 $a,b$ を $m$ で割った余りを,それぞれ $r$,$r’$ とすると,次のことが成り立つ.

(i) $(a+b)$ を $m$ で割った余りは,$(r+r’)$ を $m$ で割った余りに等しい.
(ii) $(a-b)$ を $m$ で割った余りは,$(r-r’)$ を $m$ で割った余りに等しい.
(iii) $ab$ を $m$ で割った余りは,$rr’$ を $m$ で割った余りに等しい.
(iv) $a^b$ を $m$ で割った余りは,$r^b$ を $m$ で割った余りに等しい.

合同式
$m,k$ は正の整数,$a,b,c,d$ は整数とする.$(a-b)$ が $m$ の倍数であるとき,$a$ と $b$ は $m$ を法として合同であるといい,式で $a≡b \pmod m$ と表す.このような式を「合同式」という.$a≡b \pmod m$ は,$a$ を $m$ で割った余りと $b$ を $m$ で割った「余りが等しい」ことと同じである.合同式について,次のことが成り立つ.

(i) $a≡a \pmod m$
(ii) $a≡b \pmod m$ のとき $b≡a \pmod m$
(iii) $a≡b \pmod m$,$b≡c \pmod m$ のとき $a≡c \pmod m$

$a≡c \pmod m$,$b≡d \pmod m$ のとき
(i) $a+b≡c+d \pmod m$
(ii) $a-b≡c-d \pmod m$
(iii) $ab≡cd \pmod m$
(iv) $ka≡kc \pmod m$

第2節 ユークリッドの互除法


割り算と最大公約数
(a) 割り算と最大公約数
自然数 $a,b$ について,$a$ を $b$ で割ったときの余りを $r$ とすると,次の定理が成り立つ.$a$ と $b$ の最大公約数は,$b$ と $r$ の最大公約数に等しい.

(b) ユークリッドの互除法
2つの自然数 $a,b$ の最大公約数 $G$ を求めるには,次の手順を繰り返せばよい.
① a を b で割った余りを r とする。
② r=0 ならば,b が最大公約数 g である。
r’0 ならば,a を b で,b を r でおき換えて ① に戻る。
この手順を繰り返すと必ず r=0 になるから,そのときの割る数が g である。

(c) 互いに素である整数の性質
2 つの整数 a,b が互いに素であるとき,整数 c について ax+by=c を満たす整数 x,y が存在する。

(d) 1次不定方程式と整数解
a,b,c は整数の定数で,a’0,b’0 とする。x,y の 1 次方程式 ax+by=c を成り立たせる整数 x,y の組を,この方程式の 整数解 という。また,この方程式の整数解を求めることを 1 次不定方程式 を解くという。

2 つの整数 a,b は互いに素であるとする。
1 次不定方程式 ax+by=0 のすべての整数解は x=bk,y=-ak (k は整数)
1 次不定方程式 ax+by=c のすべての整数解は,ax+by=1 の整数解の 1 つを x=p,y=q とすると  x=bk+cp,y=-ak+cq (k は整数)

第3節 整数の性質の活用


分数と小数
(a) 分数と有限小数,循環小数
有限小数:小数第何位かで終わる小数.例) 1.25
無限小数:小数点以下が限りなく続く小数.例) 3.14159……
循環小数:無限小数のうち,ある位以下では数字の同じ並びが繰り返される小数.例)  = 0.333…… 0.3,1.3636……=1.36,0.4123123……=0.4123

$m$ を整数,$n$ を正の整数とするとき,分数 $\frac{m}{n}$ は,整数,有限小数,循環小数のいずれかで表される.

(b) 有限小数・循環小数で表される分数
分母と分子が互いに素である分数を 既約分数 という。整数でない既約分数 $\frac{m}{n}$ について,次のことが成り立つ.

(i) $\frac{m}{n}$ は有限小数で表される ⇔ n の素因数は 2,5 だけからなる
(ii) $\frac{m}{n}$ は循環小数で表される ⇔ n の素因数に 2,5 以外のものがある

$n$ 進法
(a) $n$ 進法
各位の数字を上の位から並べて数を表す方法を 位取り記数法 といい,位取りの基礎となる数を 底 という。n を 2 以上の自然数とするとき,底を n として数を表す方法を n 進法 といい,n 進法で表された数を n 進数 という。ただし,n進数の各位の数字は,0,1,……, -n 1 である。

n 進数は右下に ( )n をつけて表す。たとえば,2 進数 10011 は ( )2 10011 と書く。10 進数では,( ) 10 を省略する。

(b) 底の変換
10 進数を n 進数で表すには,次の手順による。

① 割る数を n として割り算を行い,商と余りを求める。
② 得られた商について同様の割り算を繰り返し,商が 0 になるまで行う。
③ 得られた余りを逆順に並べる。

(c) $n$ 進法の小数
$n$ 進法の小数では,小数点以下の位は
$\frac{1}{n^1}$ の位,$\frac{1}{n^2}$ の位,$\frac{1}{n^3}$ の位,…… である。n 進法の小数 (1 未満) を 10 進法の小数で表すには,次の手順による。

① n を掛けて得られる整数部分を取り出す。
② 小数部分の数に対して n を掛ける。
③ ② で得られた積について ① と ② を繰り返し,② の積が整数になるまで行う。
④ ① で得られた整数部分を順に並べる。

(d) 2進法の四則計算
2 進法の足し算,引き算,掛け算では,次の計算が基本である。

足し算
$0_{(2)} + 0_{(2)} = 0_{(2)}$
$0_{(2)} + 1_{(2)} = 1_{(2)}$
$1_{(2)} + 0_{(2)} = 1_{(2)}$
$1_{(2)} + 1_{(2)} = 10_{(2)}$

引き算
$0_{(2)} – 0_{(2)} = 0_{(2)}$
$1_{(2)} – 0_{(2)} = 1_{(2)}$
$1_{(2)} – 1_{(2)} = 0_{(2)}$
$10_{(2)} – 1_{(2)} = 1_{(2)}$

掛け算
$0_{(2)} \times 0_{(2)} = 0_{(2)}$
$0_{(2)} \times 0_{(2)} = 0_{(2)}$
$1_{(2)} \times 0_{(2)} = 0_{(2)}$
$1_{(2)} \times 1_{(2)} = 1_{(2)}$

割り算は,10 進法の割り算と同様に,掛け算と引き算を組み合わせて行う。


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takara_semi
著者紹介 旧帝大卒.自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学などの分野、および学際的な研究領域に興味があります.

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