3章:2次関数

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🔄 最終更新日 2021年5月17日 by takara_semi

3章:2次関数

本章では「2次関数」「2次方程式」「2次不等式」について学習します.

第1節:2次関数とグラフ


関数とグラフ
2つの変数 $x$,$y$について,$x$の値を決めるとそれに応じて$y$の値がただ1つに定まるとき「$y$は$x$の関数」であるという.

1次関数・2次関数の一般形

(i) 1次関数の一般形:$y=ax+b$ ただし $a≠0$
(ii) 2次関数の一般形:$y=ax^2+bx+c$ ただし $a≠0$

$y$が$x$の関数であるとき,$y$を表す$x$の式を$f(x),g(x)$などと表し,関数$y=f(x)$について,$x$のとり得る値の範囲を,関数$f(x)$の「定義域」といい,定義域の$x$の値に応じて$y$がとる値の範囲を関数$f(x)$の「値域」という.

2次関数のグラフ
(i) $y=ax^2$ のグラフ
軸が$y$軸,頂点が原点の放物線となる.また$a>0$のとき下に凸,$a<0$のとき上に凸のグラフとなる.

(ii) $y=a(x-p)^2+q$ のグラフ
$y=ax^2$のグラフを$x$軸方向に$p$,$y$軸方向に$q$だけ平行移動した放物線となる(グラフの平行移動).軸は直線$x=p$,頂点は点$(p,q)$となる.

(iii) $y=ax^2+bx+c$ のグラフ
$y=ax^2+bx+c$ を平方完成することで $y=a(x-p)^2+q$ の形に変形すると

$\begin{eqnarray}
y &=& ax^2+bx+c \\
&=& a(x^2+\frac{b}{a}x)+c \\
&=& a(x^2+2\frac{b}{2a}x+\{\frac{b}{2a}\}^2-\{\frac{b}{2a}\}^2)+c \\
&=& a(\{x+\frac{b}{2a}\}^2)-\frac{b^2}{4a}+c \\
&=& a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a} \\
&=& a\{x-(-\frac{b}{2a})\}^2+(-\frac{b^2-4ac}{4a}) \\
&=& a(x-p)^2+q
\end{eqnarray}$

となる.ゆえに $y=ax^2+bx+c$ のグラフの軸は直線 $x=-\frac{b}{2a}$,頂点は,点 $(-\frac{b}{2a}, -\frac{b^2-4ac}{4a})$ であることが分かる.

グラフの平行移動・対称移動
関数$y=f(x)$のグラフについて,平行移動・対称移動した場合は以下のような関係が成り立つ.

グラフの平行移動

関数$y=f(x)$を$x$軸方向に$p$, $y$軸方向に$q$だけ平行移動すると:
$y=f(x)$ → $y-q=f(x-p)$ すなわち $y=f(x-p)+q$

グラフの対称移動

関数$y=f(x)$を$x$軸,$y$軸,原点に関して対称移動すると:
(i) $x$軸対称移動:$y=f(x)$ → $-y=f(x)$ すなわち $y=-f(x)$
(ii) $y$軸対称移動:$y=f(x)$ → $y=-f(x)$
(iii) 原点対称移動:$y=f(x)$ → $-y=f(-x)$ すなわち $y=-f(-x)$


第2節:2次関数の値の変化


2次関数 $y=a(x-p)^2+q$ の最大・最小
$a>0$ のとき,$x=p$ で最小値 $q$ をとり,最大値はない.
$a<0$ のとき,$x=p$ で最大値 $q$ をとり,最小値はない.

関数の定義域に制限のある場合の最大・最小
グラフをかいて,頂点の位置,定義域の両端における $y$ の値に注目する.

最大・最小の応用
(i) 何を変数 $(x)$ にするかを決め,そのとりうる値の範囲(定義域)を定める.
(ii) 最大・最小を求めようとする量 $(y)$ を,変数 $(x)$ を用いて表す.
(iii) 変数 $(x)$ の定義域に注意して,(b)で表した関数 ($x$の式$y$) の最大・最小を求める.

$y≧0$ のとき,$y$ の最大・最小を求めるのに,まず $y^2$ の最大・最小を求めると簡単な場合がある.このとき,次が成り立つことを利用する.

2乗した値の大小関係

$A≧0$,$B≧0$ のとき $A<B$ ⇔ $A^2<B^2$

2次関数の決定
2次関数の決定のために,与えられた条件によって,その未定の係数を定める.求める2次関数は,条件に適した形を利用する.軸や頂点の条件が与えられた場合は $y=a(x-p)^2+q$ の式を利用し,それ以外の場合は $y=ax^2+bx+c$ の式を利用すれば計算量が少なくなる場合が多い.また,2次関数がある点 $(s,t)$ を通る場合は以下の等式が成り立つことを上手く利用する($y=f(x)$に$(x,y)=(s,t)$を代入すればよい).

ある点 $(s,t)$ を通る関数

$y=f(x)$ のグラフが点 $(s, t)$ を通る ⇔ 等式 $t=f(s)$ が成り立つ

第3節:2次方程式と2次不等式


2次方程式の解き方
2次方程式を解く方法として,与えられた式に応じて,以下の手法を適宜用いる.
(a) 因数分解:数の積の性質 「$AB=0$ ならば $A=0$ または $B=0$」 を用いる.
(b) $a>0$ のとき,$x^2=a$ の解は $x=±\sqrt{a}$
(c) 解の公式:2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ は以下のように求められる.

2次方程式の解の公式

$b^2-4ac≧0$ のとき実数解をもち $x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$

$x$ の係数が偶数(つまり $b=2b’$ と置換可能)の場合は以下の公式で計算を簡便化できる.

2次方程式の解の公式(b=2b’)

${b’}^2-ac≧0$ のとき実数解をもち $x=\frac{-b’±\sqrt{{b’}^2-ac}}{a}$

2次方程式の係数と実数解
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ について,判別式を $D=b^2-4ac$ とすると,以下のことが成り立つ.

2次方程式の判別式$D$と解

(i) $D>0$ :異なる2つの実数解 $x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$ をもつ
(ii) $D=0$ :ただ1つの実数解(重解 $x=\frac{-b}{2a}$ )をもつ
(iii) $D<0$ :実数解をもたない(虚数解を持つがこれは後に学ぶ)
→つまり(i)(ii)を合わせて $D≧0$ のときに実数解をもつ

2次関数のグラフと$x$軸の位置関係
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸の位置関係は,判別式 $D$ の値によって,次のように分別できる.

2次関数のグラフと$x$軸との位置関係

(i) $D>0$ :異なる2点で交わる
(ii) $D=0$ :接する
(iii) $D<0$ :共有点をもたない

つまり,2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ について
(a) グラフと$x$軸の共有点の$x$座標 = 方程式の実数解
(b) グラフと$x$軸の共有点の個数 = 方程式の実数解の個数
という関係が成り立つことが分かる.

よって2次関数 $y=a(x-\alpha)(x-\beta)$ のグラフは,$x$ 軸と2点 $(0, \alpha)$,$(0, \beta)$ で交わることがいえる.これは2次方程式$y=a(x-\alpha)(x-\beta)$ の解が $x=\alpha, \beta$ であることから自明である.

2次不等式の解
2次不等式の解は,2次方程式のグラフと解の関係を踏まえると,以下のように考えることができる(常に簡単なグラフを描いて考えることで,ケアレスミスを大幅に減らすことができる).ただし 2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の実数解を $\alpha, \beta (\alpha<\beta)$ (重解の場合は $\alpha$ のみ)とする.

$ax^2+bx+c>0 (a>0)$ の解

(i) $D>0$ : $x < \alpha, \beta < x$
(ii) $D=0$ : $x=\alpha$ 以外のすべての実数
(iii) $D<0$ :すべての実数 (どんな実数を $x$ に代入しても $ax^2+bx+c>0$ が成り立つ)

$ax^2+bx+c≧0 (a>0)$ の解

(i) $D>0$ :$x ≦ \alpha, \beta ≦ x$
(ii) $D=0$ :すべての実数
(iii) $D<0$ :すべての実数

$ax^2+bx+c<0 (a>0)$ の解

(i) $D>0$ :$\alpha < x < \beta$
(ii) $D=0$ :解なし(どんな実数を $x$ に代入しても $ax^2+bx+c<0$ とはならない)
(iii) $D<0$ :解なし

$ax^2+bx+c≦0 (a>0)$ の解

(i) $D>0$ :$\alpha ≦ x ≦ \beta$
(ii) $D=0$ :$x=\alpha$
(iii) $D<0$ :解なし

※ $a<0$ のときは,不等式の両辺に $-1$ を掛けて, $x^2$ の係数を正にして考えればよい.

 補足・詳説 
$\alpha<\beta$ のとき:
$(x-\alpha)(x-\beta)>0$ の解は $x<\alpha$,$\beta<x$
$(x-\alpha)(x-\beta)<0$ の解は $\alpha<x<\beta$
$(x-\alpha)^2>0$ の解は $x=\alpha$ 以外のすべての実数
$(x-\alpha)^2<0$ の解はない

これらの結果は,$x$ に値を代入することで簡単に確認することもできる.また,まとめとして以下が成り立つことが分かる.

2次不等式と判別式の関係

2次関数 $y=ax^2+bx+c$ に対して:

常に $ax^2+bx+c>0$ ⇔ $a>0$ かつ $D=b^2-4ac<0$
常に $ax^2+bx+c<0$ ⇔ $a<0$ かつ $D=b^2-4ac<0$

 発展・応用 
放物線と直線の共有点の座標
放物線(2次関数)と直線の共有点については以下のように考えることができる.
(a) 放物線 $y=ax^2+bx+c$ と直線 $y=mx+n$ の共有点の $x$ 座標 ⇔ 2次方程式 $ax^2+bx+c=mx+n$ の実数解
※ 連立方程式 $\begin{cases}
y = & ax^2+bx+c \\
y = & mx+n
\end{cases}$ を解くということ.

(b) (a)において,共有点の個数と2次方程式の実数解の個数は一致する.

放物線と直線の共有点と判別式

・放物線と直線が異なる2点で交わる ⇔ 異なる2つの実数解をもつ $(D>0)$
・放物線と直線が接する ⇔ 重解をもつ $(D=0)$
・放物線と直線が共有点をもたない ⇔ 実数解をもたない $(D<0)$

2次関数のグラフと2次方程式の解の範囲
2次方程式の解の存在範囲について考える.2次関数 $y=f(x)$ について,$f(r),f(s)$ の符号が異なる($f(r)f(s)<0$である)と,$r$ と $s$ の間に $f(x)=0$ となる $x$ の値 $\alpha$ が存在することが分かる.すなわち,以下の関係が成り立つ.

2次方程式の解の存在範囲

$r<s$ とすると:

$f(r)f(s)<0$ ⇔ 解 $x=\alpha$$(r<\alpha<s)$ が存在する

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著者紹介 旧帝大卒.自然科学/社会学/教育学/健康増進医学/工学/数学などの分野、および学際的な研究領域に興味があります.

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